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静望の庭











クラッシック音楽を愛する施主の自邸。 修道院が施主のイメージであり、好みや考えを伺って目に浮かんだのは牧歌的な風景だった。
守られたプライベート空間を確保する為の3.5mウォールは、住む人が偲ばれる景色になるよう、木立の中に立つランドスケープウォールとした。一歩中に入ると、回廊の様なアプローチが続く。元来瞑想の場である回廊を進むと、徐々に心が鎮まっていくのを感じる。
西側の山のシーンと南東の海のシーンを持つ贅沢な環境を活かし、大らかなグラウンドの起伏と植栽のコントラストが、陰から陽、闇から光の世界をドラマティックに創出する。室内からは、近景に高木の太い幹、中景に敷地境界際の混植の茂み、遠景に大阪湾が望める。
この家の庭は遥か彼方に臨む大阪の街と大阪湾であろう。この場で土と戯れながら、日々刻々と変わっていく眼下の景色を見ながらそう思った。
photo by Tadayuki MINAMOTO