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松栄の庭

昭和の終わりに作ったこの庭も、当初は子供が走り回れる芝庭だったが、木々の成長と共に、日陰ができ、次第に苔むす庭になっていった。

住む人の成長と共に変化していく庭、またそれらを受け入れ愉しめる施主。作庭の際にも、もともとのお屋敷から、代々大切にしてきた木々や、先祖が好んだ景石をこの場に移植、移設し庭を構成した。

目新しいものばかりが持てはやされ、文化を育むことが難しい時代に、記憶や心を持ったものを大切にし、その時代における今の解釈で生かすこと。

先祖の心はこうして受け継がれていく。

子供たちは成長し、庭を愛でる人となった。 その心こそが、この庭ではないか。

photo by Kenji TOHATA