Works
大谷のニハ -人為と自然の間-
大谷グランドセンター(旧山本園)は、元オーナーの山本さんが、この場所を毎日眺めていた石工さんだったからこそ設計できた建物だ。我々も、山本さんのように、できるだけこの土地の魅力をそのままに、最小限の編集で何ができるか考えた。
まず、遺跡を発掘するかのように、生かせるものを露出させていった。現時点でのこの場所の植生は、葛や藤やアケビなどの蔓植物が全体を覆っている。おそらくどこかのタイミングで、茂ってきた樹々を伐採したため、光が入り、蔓性の植物がはびこったのだと思われる。これらの植物の勢力を落ち着かせていくためには、クヌギやアオダモなどの、落葉の陽樹が骨格となる森をここから時間をかけて育てていかなければならない。しかし地面は大谷石の岩板。植木屋さんの畑で育った木を植えても思うように成長しないので、藪や、草むらから生える実生の樹々をできる限り残す事を意識した。樹々が大きくなり影ができると徐々に蔓性の植物達が絶えていくだろう。人が自然に寄り添い手を入れれば、場が徐々に安定していく。
後はこの土地にふんだんにある大谷石を使って、人工的なエッジを足しながら導線を
整えた。
いったん落ち着いたかのように見えるこの場所は、今年の夏にはまた繁茂するであろう。
どこまでを許容しどこまで手を入れるのか、謙虚な気持ちで自然と向き合いながら、この場所と関わっていきたい。
photo by Tadayuki MINAMOTO