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大湫町・神明大杉保存プロジェクト










大湫町・神明大杉保存プロジェクト
中山道 大湫神明神社大杉が突然倒れた。
倒れた大杉は、町の人々にとってシンボルであり、心の拠り所であったので、その存在を保存するという公開型プロポザールが実施され、チームとして参加した。
自然のサイクルの可視化を、このプロジェクトの本髄とし、自然の新陳代謝に沿う形での保存を提案した。ご神木として祭り敬ってきた町の人々にとって、新しい年毎に大杉に注連縄を張る、という行為が大きな意味を占めていたので、「再び大杉を立たせる」ことにした。
未だ大杉が倒れる前、天に向かい聳え立つ姿を見たことがある。
境内の石垣さえも抱かえこむ姿はとても力強く、奥にひっそりとたたずむ社の存在を消してしまう程の存在感であった。
そもそも、自然を畏れ敬うという気持ちは、本来人間の素朴な心から発する感覚であったはずだ。この自然への畏敬の念は、やがて自然への絶対的な信頼へとかわり、自然こそが人が生きていく上で学ぶべき姿であると認識する。自然のそのような働きに対して謙虚な心で接しようとすることに、自然信仰が起こり、それに伴って自ら感謝の心を現す祭りが行われることとなってきたのではないか。
自然への畏敬の念は、現代人が自然を資源とみなし、自然を利用してより快適な生活を実現する事の対極にある。
大杉と対峙して、人も自然の一部であり、自然の働きによって全ての命は生かされている。このことを改めて深く見つめなおす機会となった。
photo by ToLoLo studio